【4-1】スコープと要求事項|PMP試験対策

PMP試験対策
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この記事はこんな方におすすめ
  • PMP試験の受験勉強をしている方
  • プロジェクトマネージャーを目指す方
  • プロジェクトマネジメント業務に興味のある方

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このページでは、PMP試験対策として組織の『スコープ』と『要求事項』の概念について解説してきます。
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プロジェクトにおける『スコープ』とは?

スコープ(Scope)は「範囲」「領域」という意味で、プロジェクトにおいては「作業範囲」「作業領域」の総称となります。スコープには、「プロダクト・スコープ」と「プロジェクト・スコープ」の2つがあるので、それぞれ覚えておきましょう。

プロダクト・スコープ:
プロダクト、サービス、所産を特徴づけるフィーチャーや機能。
プロジェクト・スコープ:
プロダクト、サービス、所産を生み出すために実行する作業。

予測型とアジャイル型の『スコープ』の違い

予測型プロジェクトでは ”スコープ定義→期間・費用の見積もり→計画” と、スコープをもとにプロジェクトが計画され実行されていきます。

一方でアジャイル型プロジェクトでは、与えられた期間と工数内でスコープを調整するため、”期間・工数の設定→スコープ定義” のように進められます。

近年、PMP試験ではアジャイル型の出題が半数を占めますので、従来型の手法との違いも理解しておきましょう。

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『要求事項』の収集とは?

プロジェクトにおいて、スコープを定義するには ”要求事項を収集して文書化”する必要があります。ここでは、予測型プロジェクトで作成される「要求事項文書」と、アジャイル型プロジェクトで作成される「バックログ」 について理解してきましょう。

①要求事項文書

予測型プロジェクトで作成される要求事項文書には、要求事項をベースライン化してビジネス・ニーズをどのように満たすかを記述します。

要求事項をベースライン化するには、明瞭性(測定・テストが可能なこと)、追跡可能性、完全性、一貫性を満たすよう定義します。要求事項を分類すると、次のようなものが挙げられます。

<ビジネス要求事項>
プロジェクトを立ち上げるに至ったビジネス上の課題や好機
<ステークホルダー要求事項>
ステークホルダーのニーズ
<ソリューション要求事項>
プロダクト、サービス、所産の機能と特性の機能・非機能における要求事項
<移管および準備状況への要求事項>
成果物を移管するために必要とする条件
<プロジェクト要求事項>
プロジェクトが満たすべき条件
<品質要求事項>
成果物が受け入れられるために必要な条件・基準

②バックログ

アジャイル型プロジェクトでは、要求事項はバックログと呼ばれて管理されます。予測型プロジェクトとは異なり、”まだ対応されてない要求事項” といった扱いで、イテレーションを開始する前にバックログから選定して作業対象とします。

またバックログから要求事項を選定する際は、妥当であるかの確認としてリファインメント(洗練)を行い、要求事項の見直しを実施します。

イテレーション(Iteration)とは、アジャイル開発において最も重要な要素で、一連の工程を短期間で繰り返す開発サイクルのことを言います。

ユーザー・ストーリー

一般的にアジャイル型プロジェクトでは、成果物への要求事項を「ユーザー・ストーリー」として記述されます。ユーザー・ストーリーには、「誰」が「何のために」「何をする」と記述することで、ステークホルダー要求事項を表現しています。

『要求事項』の収集のツールと技法は?

要求事項を収集するためには、次のようなツールと技法が用いられます。それぞれ具体的にどのようなものがあるか理解してきましょう。

①データ収集技法
②意思決定技法
③データ表現技法
④人間関係とチームに関するスキル
⑤コンテキスト・ダイアグラム
⑥プロトタイプ/ストーリーボード

①データ収集技法

プロジェクトマネジメントにおいて、データの収集技法は次が挙げられます。

ブレーンストーミング:
複数人で自由にアイデアを出し、新しい発想やアイデアを生み出す集団発想法のこと。
インタビュー:
二人以上の間で対話することで情報を得る手法。 インタビューする側を「インタビュアー」、インタビューされる側を「インタビュイー」と言う。
アンケート調査:
特定の調査対象者に事前に決めた質問を行い回答を集める調査方法。
ベンチマーキング:
サービス、プロセスなどの質やパフォーマンスを、内外の対象と比較・分析して改善を図る経営手法。
フォーカス・グループ:
特定のテーマで少人数のグループで集中的に会議を行う調査手法。グループインタビューやグループディスカッションとも呼ばれます。

②意思決定技法

プロジェクトマネジメントにおいて、意思決定技法は次が挙げられます。

投票:
満場一致、過半数、相対多数などがある
独裁的意思決定:
チームの中の誰か一人が意思決定を行う(トップダウン)。
他基準意思決定分析:
代替策、エビデンス分析など、複数の基準を考慮して意思決定を行う。

③データ表現技法

プロジェクトマネジメントにおいて、データ表現の技法には次が挙げられます。

親和図:
ある課題に対する「事実」「意見」「発想」を言語データ化し、言語データ同士の「親和性」を見つけて統合図を作っていく手法で、多数のアイデアをグループ分けできる。
マインド・マップ法:
イメージを視覚的に表現することで「考え」「記憶」「アイデア」を整理し、共通点や相違点を明確にして新しいアイデアを生み出すことができる。

④人間関係とチームに関するスキル

プロジェクトマネジメントにおいて、人間関係とチームに関するスキルには次が挙げられます。

ノミナル・グループ技法:
ブレインストーミングに投票プロセスを加え、投票数によって優先順位をつけたり、合意を形成する技法のこと。
ファシリテーション:
会議などで参加者の意見を引き出し、議論を円滑に進めて合意形成するスキルのこと。共同アプリケーション設計・開発(JAD)、新製品開発における品質機能展開(QFD)、ユーザー・ストーリーなどが例として挙げられます。

⑤コンテキスト・ダイアグラム

(引用:wikipedia

コンテキスト・ダイアグラムは、ビジネス・システム(プロセス、コンピュータ・システム)が、ほかのファクター(他のシステム、ユーザー)とどのように相互作用しているかを表した図解表現で、プロダクト・スコープを視覚的に表現することができます。

表現するインターフェイスには次のものが挙げられます。

ビジネス体系へのインプット
インプットを提供するアクター
ビジネス体系からのアウトプット
アウトプットを受け取るアクター
コンテキスト・ダイアグラムを作成していく際には、内容を詳細にするために段階的に下層のDFD(データフロー図)を作成します。

⑥プロトタイプ/ストーリーボード

プロトタイプ(prototype)は「試作モデル」の意味で、プロダクトを構築する前に期待されるモデルを提供することで、要求事項へのフィードバックを早い段階で得るために作成されます。

また、視覚的にストーリーを展開するためのイラストや画像で作成された「ストーリーボード」は、ユーザーが製品やサービスをどのように使うかのシナリオを描写します。

『要求事項』の追跡(トレース)とは?

プロジェクト・マネージャーは、要求事項が確実に実現されていることを把握するために追跡(トレース)を行わければなりません。要求事項をトレースするポイントには次の3つが挙げられます。

①各要求事項をビジネス目標 / プロジェクト目標に結び付け、各要求事項が事業価値を確実に実現できるようにする。
②プロジェクト完了時点で、承認された要求事項を達成されていることを確認できる。
③プロダクト・スコープの変更をマネジメントする仕組みを提供する。(要求事項トレーサビリティ・マトリックス)

要求事項トレーサビリティ・マトリックス

要求事項トレーサビリティ・マトリックスとは、プロジェクトにおいて要求事項をトレースするための表のことで、以下のように作成されます。

要求事項 ビジネス・ニーズ 目標 設計 開発 テスト
XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX XXXX

まとめ

今回は、「スコープ」と「要求事項」について触れました。次回は、「スコープ記述書」と「スコープ定義」について解説していきます。

次回:【4-2】スコープ記述書

ー くらしと仕事をワンランク上に ー
以上、YAKUMO(@yakumostyle)でした。

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