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- プロジェクトマネージャーを目指す方
- プロジェクトマネジメント業務に興味のある方
『プロジェクト統合マネジメント』とは?
プロジェクト統合マネジメントには、次の事項が含まれます。
統合とは、「二つ以上のものを合わせて一つにすること」を意味します。プロジェクトは、当初の計画から変更が発生するのは常で、全体的に機能させることから ”本質的に統合的” です。
上画像をのように、”立ち上げ→計画→実行→監視・コントロール→終結” のプロセス群が統合され、プロジェクトマネジメント計画書に整理され更新されます。
ここでは、プロジェクト統合マネジメントの各プロセスにおけるアウトプットを理解していきましょう。
①『プロジェクト憲章』とは?
プロジェクト憲章は立ち上げプロセスで最も重要なアウトプットで、これをインプットとしてプロジェクトマネジメント計画書やスコープ記述書が作成されます。
ここではプロジェクト憲章の内容と、プロジェクト憲章のインプットとなる情報について理解してきましょう。
プロジェクト憲章
プロジェクト憲章(Project Charter)は、プロジェクトの発足を正式に認可する文書です。
一般的に、プロジェクト憲章は ”プロジェクトのイニシエーターもしくはスポンサーから発行” されます。また作成の際は、プロジェクト・マネージャーも関与するのが望ましいとされています。
プロジェクト憲章には以下の内容が記載されています。
インプット①:ビジネス文書
プロジェクトの立ち上げは、そのプロジェクトへの投資に見合う成果が得られると判断されてから正式に決定されますが、プロジェクトの立ち上げ判断材料となるのが「ビジネス文書」です。
このビジネス文書とは、「ビジネス・ケース」と「ベネフィット・マネジメント契約書」を指します。なお、ビジネス・ケースは以下をベースに作成されます。
インプット②:合意書
合意書とは、契約書、覚書事項(MOU)、同意書など、双方の合意に用いられる文書です。契約締結など何らかの合意によってプロジェクトが立ち上がる際、合意書がプロジェクト憲章のインプットとなります。
②『プロジェクトマネジメント計画書』とは?
プロジェクトマネジメント計画書は、計画プロセス群の主要なアウトプットで、プロジェクトマネジメントに関するすべての計画をまとめた文書で、プロジェクトの実行・管理に使用されます。
プロジェクト・ベースラインの設定
プロジェクトマネジメント計画書を作成する目的は、”なぜそのような計画にしたか?” を文書化し、プロジェクトの実績測定基準となるプロジェクト・ベースラインを設定することです。
プロジェクト・ベースラインには、「ベースライン」「パフォーマンス計測ベースライン」があり、次の3つの観点で設定されます。
スコープ記述書、WBS、WBS辞書
マスタースケジュール
予算化の結果として作成
プロジェクトマネジメント計画書の変更
計画を変更しなければならない事態が発生すれば、必要に応じてプロジェクトマネジメント計画書を更新する必要があります。
ここが注意すべきポイントで、プロジェクト目標を達成するための計画変更はプロジェクト・マネジメントの責任で、ベースラインの変更は正式な変更管理プロジェクトを通さなければなりません。
③『監視・コントロール』とは?
プロジェクトの実行プロセスは最も多くの時間とリソースを消費するため、プロジェクトが問題なく実行されているかを把握するために監視・コントロールすることが重要です。
監視の基本は ”計画と実績の対比” で、計画を下回ることが見込まれれば何らかの対処、つまりコントロールを行います。以下の4つは、監視・コントロールにおいて必要な概念となります。
①変更要求
変更要求(Change Requests)とは、計画を予定通り実行し、”作業やプロダクトに対して必要な修正を行うために提示される要求” です。
具体的には次の4つがあり、スコープのコントロール、スケジュールのコントロールなど、それぞれの観点で変更要求を全体的に判断し、プロジェクト全体で整合性の取れた変更可否判断を行います。
プロジェクト作業をプロジェクトマネジメント計画書に沿うように再調整する活動のこと。※現状の問題の改善
プロジェクト作業の将来のパフォーマンスが計画に沿うようにするための活動のこと。 ※リスクへの対処
不適合な箇所を修正するための活動のこと。
正式な変更管理には該当しない成果物の変更、プロジェクトマネジメント計画書の構成要素またはプロジェクト文書の更新。
②承認済み変更要求
「統合変更管理」プロセスを通して正式に承認された変更要求に基づいて、是正処置や予防処置などの変更作業が実行されます。
③成果物
成果物とは(Deliverables)とは、プロジェクトを実行することによって生成される中間成果物や最終成果物の総称です。
④データ分析
プロジェクトの監視・コントロールでは、ベースラインとプロジェクトの実績を比較(差分分析、傾向分析)して進捗を把握し、目標達成の阻害となる要因があれば対処する必要があります。
⑤作業パフォーマンス報告書
スコープのコントロール、スケジュールのコントロールなど、様々な監視・コントロール活動の結果として整理した情報を ”ステークホルダー向けにまとめた報告書” を指します。
④『知識マネジメント』とは?
プロジェクト知識のマネジメントは、”過去の知識を活用して新しい知識を生み出す”ことで、プロジェクトの目標を達成し、組織としての学習を高める目的で行います。
ここでは、プロジェクト知識のマネジメントの概念を理解していきましょう。
①知識
知識には「形式知」「暗黙知」の2つがあり、この両方をマネジメントします。
単語、絵、数字などを使って容易に文書化できる知識。
経験、洞察、ノウハウなどの個人的な表現の難しい知識。
②知識マネジメント
知識マネジメントとは、「新しい知識を生む」「暗黙知を共有する」「メンバーの知識を統合する」ために用いられるツールと技法を指します。
この知識マネジメントのツールと技法には次のようなものが挙げられます。
③教訓
一般的に、プロジェクトを通して得た知識や経験を教訓(Lessons leaned)と言い、教訓登録簿(Lessons leaned register)に登録・更新していきます。さらには、プロジェクトの終わりやフェーズの終わりに教訓リポジトリに移管され、組織のプロセス資産となります。
またアジャイル型プロジェクトでは、イテレーション(短い期間で開発を繰り返すサイクル単位)ごとにレトロスペクティブ(振り返り)・ミーティングを行い、教訓を得るようにすることが一般的です。これにより、プロジェクトを遂行する能力が高まっていきます。
まとめ
今回は、「プロジェクト統合マネジメント」について触れました。次回は、「統合変更管理」と「プロジェクトやフェーズの終結」について解説していきます。
ー くらしと仕事をワンランク上に ー
以上、YAKUMO(@yakumostyle)でした。
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