- PMP試験の受験勉強をしている方
- プロジェクトマネージャーを目指す方
- プロジェクトマネジメント業務に興味のある方
プロジェクト・マネージャーの『役割』とは?
一般に、プロジェクト・マネージャーの役割は大きく次の2つがあります。
①プロジェクトにおける役割
プロジェクト・マネージャーのプロジェクトにおける役割は次の通り。
利用可能な資源と、競合する制約条件(品質、コスト、納期等)
プロジェクトの目標とステークホルダーの期待を満たす
特にプロジェクトを成功させるためには、利害関係の異なるステークホルダーとのこコミュニケーションが重要で ”ソフト・スキル” が求められます。
②組織における役割
プロジェクト・マネージャーの組織における役割は次の通り。
プロジェクトは、他のプロジェクトに影響を及ぼすケースが多いため、プロジェクト・マネージャーは他のプロジェクト・マネージャーとの積極的なコミュニケーションが求めらます。
プロジェクトの・マネージャーの『コンピテンシー』とは?
PMIは、プロジェクト・マネージャーのコンピテンシー開発に必要な3つのスキルを ”タレントトライアングル” として定義しています。それぞれ、どんなスキルが必要かチェックしていきましょう。
①『テクニカル・プロジェクトマネジメント』とは?
テクニカル・プロジェクトマネジメントでは、次のようなスキルが求められる。
自らがマネジメントするプロジェクトの不可欠な要素に焦点を当てる。
(プロジェクトの重要成功要因、課題、財務目標)
プロジェクトに合ったツール、技法などをテーラリングする。
(従来型/アジャイル型の手法を上手に適用する)
計画を綿密に練り、優先順位をしっかりと付ける
プロジェクトの要素をマネジメントする。
(スケジュール、コスト、資源、リスク等)
②『戦略的およびビジネスのマネジメント』とは?
戦略的およびビジネスのマネジメントでは、次のようなスキルが求められる。これらには、ビジネス知識(ドメイン知識)が必要となる。
プロジェクトがもたらす事業価値を説明する。
スポンサーなどを協力して、プロジェクトの実行戦略を講じる。
プロジェクトの事業価値を最大化するように戦略を展開する。
③『リーダーシップ』とは?
リーダーシップには、次のような資質とスキルが含まれます。
明確なビジョンを有すること
積極的で前向きであること
協調性があること
他社と信頼関係を構築するなどして、他者との関係やコンフリクトをマネジメントすること
十分なコミュニケーションをとること
親切で正直で信頼でき、かつ論理的であること
他者の功績は素直に認めること
結果志向かつ行動志向であり、常に学び続けること
有能なプロジェクト・マネージャーは、90%の時間をコミュニケーションに費やしてる
マネジメントとリーダーシップの『違い』は?
マネジメント:期待される既知の行動を通して、他者をある地点から別の地点に到達するよう導くこと
リーダーシップ:他者をある地点から別の地点に導くために、議論や討議を通して他者とともに物事を進めること
上記のように、マネジメントとリーダーシップの目的は異なります。プロジェクト・マネージャーは、局面によってマネジメントとリーダーシップを使い分ける必要があります。
チーム・マネジメントとチーム・リーダーシップの比較
マネジメント | リーダーシップ |
権威を利用して指示する | 関係を利用してガイダンス、働きかけ、コラボレーションを行う |
維持 | 開発 |
管理 | 革新 |
システムと構造に重点を置く | 人との関係に重点をおく |
コントロールに依存する | 信頼を勝ち取る |
短期的な目標に重点を置く | 長期的なビジョンに重点を置く |
手段と期日を尋ねる | 内容と理由を尋ねる |
利益に重点を置く | 新しい可能性に重点を置く |
現状維持を承認する | 現状維持を疑問視する |
物事を正しく行う | 正しいことを行う |
定常業務の課題と解決に重点を置く | ビジョン、団結、モチベーション、インスピレーションに重点を置く |
上表は、マネジメントとリーダーシップの比較を表しています。プロジェクトを成功させるためには、局面に応じてどちらの視点で働きかけを行うかの判断が重要になってきます。
6つの『リーダーシップ・スタイル』とは?
プロジェクト・マネージャーは本人の特性、メンバーの特性、組織の特性、環境特性によって、リーダーシップのスタイルを変えるスキルがあると望ましいとされています。リーダーシップのスタイルには、主に次の6つが取り上げられます。
①自由放任型(Laissez-faire)
傍観主義とも呼ばれ、チームに意思決定を任せるスタイル。
②業務達成型(Transactional)
達成すべき目標に重点を置くスタイル。
③サーバント・リーダー(Servant leader)
他者を第一に考え、他者に仕えるように振る舞うスタイル。リーダーシップは二次的であり、他者に仕えることによって事後的に派生する。
④変革型(Transformational)
理想の姿を示したり、イノベーションや創造を奨励したりすることで、人々を力づけるスタイル。
⑤カリスマ的(Charismatic)
情熱的で自身があり、強い信念をもつことで、人々を鼓舞するスタイル。
⑥相互型(Interactional)
業務達成型、変革型、カリスタ的を組み合わせたスタイル。
プロジェクト・マネージャーの『権威』とは?
権威とは、自分が望むように他者を動かす力のことを言います。プロジェクト・メンバーはプロジェクト・マネージャーに何らかの権威を感じて、指示に従い、作業を遂行します。権威には次のような種類があるので覚えておきましょう。
職位による権威(組織内での正式任命)
情報による権威(情報のコントロール)
後ろ盾による権威(他者からの敬意、称賛、信頼性)
状況による権威(特定の危機発生時)
人格またはカリスマ性による権威(魅力、引きつける力)
関係性による権威(人脈)
専門性による権威(スキル、保有資格、経験等)
報酬による権威(金銭、望むものを与える力)
罰を与えるまたは強制による権威(懲罰を行使する力)
愛想の良い態度による権威(好意や協力を引き出すためのお世辞)
圧力による権威(従わせる目的で相手の自由を制限する)
罪悪感による権威(責任や義務感の強制)
説得する権威(人を行動に移すための論拠提供する能力)
回避する権威(参加拒否)
3つの『統合』とは?
プロジェクトを統合する際に、プロジェクトマネージャーには次の役割があります。
戦略目標を理解し、プロジェクトの目標と結果が、ポートフォリオ、プログラム、および業務領域の目標と結果に整合するように、スポンサーとともに戦略の統合と実行に寄与する。
プロジェクトにおいてチーム・メンバー同士が協力し合って重要な事柄に取り組むように導く。
プロジェクトの統合とは、次の3つの異なるレベルで生じ、プロジェクト・マネージャーは対処する必要があります。
①プロセス・レベルでの統合
お互いに重なり合い、プロジェクト全体を通して数回発生することのある一連のプロセスと活動を統合する。
②認知レベルでの統合
プロジェクト・マネージャー自身のスキルと能力がプロジェクトをマネジメントする方法に関連しており、望ましいプロジェクトの結果を生み出すために、プロジェクト・マネージャーはすべての知識エリアを熟達するよう努力する必要がある。
③コンテキスト・レベルでの統合
プロジェクトが置かれている環境は大きく変化しており、統合をマネジメントする際に、プロジェクト環境とプロジェクトを取り巻く新しい側面を認識している必要がある。
まとめ
今回は、プロジェクト・マネージャーの役割、必要とされるコンピテンスについて触れました。次回は、「プロジェクト統合マネジメント」について解説していきます。
ー くらしと仕事をワンランク上に ー
以上、YAKUMO(@yakumostyle)でした。
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